国の文化審議会は15日、新宮市の「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭り(おとうまつり)」を国の重要無形民俗文化財に指定するよう文部科学大臣に答申した。速玉祭と御燈祭りはいずれも熊野三山の1つ、熊野速玉大社を中心に行われる祭礼行事で、熊野速玉大社祭事保存会が保護、継承。指定されれば、県内の国の重要無形民俗文化財は7件となる。
 速玉祭は、熊野速玉大社の祭礼として10月15日に神馬渡御式、16日に神輿渡御式と御船祭りが行われ、16日は神霊を神輿から御神幸船(ごしんこうせん)に遷して熊野川を遡上し、早舟競漕(はやぶねきょうそう)とともに御船島(みふねじま)を廻る。
 御燈祭りは毎年2月6・7日に行われる神倉神社(熊野速玉大社に付属)の祭礼で、6日夜には「上がり子」と呼ばれる白装束の参拝者が神倉山の上で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門の開扉とともに急な石段を一気に駆け下りる。
 現在、速玉祭は「熊野速玉祭」、御燈祭りは「熊野御燈祭」としてともに県の無形民俗文化財となっているが、今回は2件を1つにまとめ、国の重要無形民俗文化財に指定される。県内の国重要無形民俗文化財指定は、昨年の「那智の扇祭り」(那智勝浦町)に次いで2年連続で、その他、かつらぎ町の「花園の御田舞」、有田川町の「粟生(あお)のおも講と堂徒式(どうとしき)」、串本町の「河内祭(こうちまつり)の御舟行事(みふねぎょうじ)」など5件が指定されている。
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無数の松明が石段を駆け下りる御燈祭り
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熊野川で行われる速玉祭の早舟競漕