濱口梧陵の稲むらの火の物語をもとに自民党の二階俊博総務会長が提唱し、11月5日「世界津波の日」が国連総会で採択されたことを受け、制定記念の会が16日、広川町民体育館で開催された。インドネシアのアチェ津波博物館のトミー・ムリア・ハサン館長が特別講演し、同博物館に濱口梧陵等を紹介する日本コーナーを設けることを約束した上で「稲むらの火の逸話を世界に広める」と決意を示した
 アチェ津波博物館は、20万人以上の死者を出した2004年のスマトラ沖地震の被災地に建設されており、当時の状況を伝える資料の展示や、津波について学ぶ施設になっている。ハサン氏が2014年に館長に就任してからは、博物館を充実させることに努め、昨年1年間の来館者は56万人で前年から20%アップさせるなど手腕を発揮している。講演では、ハサン館長も津波で被災し、家族は無事だったものの自宅が全壊し、すべての生活が一変したことや、インドネシアには当時、津波に対する知識が浸透しておらず、海を見に行って多くの犠牲者が出たことなどを説明。世界津波の日が制定されたことを喜び、「スマトラ沖地震が起こる約150年前、濱口梧陵が津波が襲ってくることを知らせて多くの命を救った。アチェでもこの稲むらの火の話を広め、世界に発信していきたい」と力を込めた。津波博物館の中に日本コーナーを開設することを約束し、「稲むらの火の舞台となった安政の南海地震のことだけでなく、阪神・淡路大震災、東日本大震災についても展示するつもり」とし、「我々のゴールは、自然脅威からリスクを減らすことの重要性を知らせること。人々が脅威を自覚できれば多くの命と生活が助かる。相互協力して、日本が示してくれた友情を強固にしていきたい」と力説し、約1200人の来場者から大きな拍手が送られた。
 二階氏も講演し、「大切な命をみんなの力で守りぬく。地球規模で訓練をして知識を深めれば対応は不可能ではない。子どものころから教育して助かる人を増やすことも大事。アチェ博物館と協力して、世界に津波犠牲者ゼロへの取り組みを発信していこう」と話した。記念の会には仁坂吉伸知事やユスロン・イザ・マヘンドラ駐日インドネシア大使らも出席し、津波防災への思いを語った。