科学技術は年々進歩し、いろんな分野で人の生活を助けてくれているが、それでも失敗や事故、誤作動はなくならない。ただ、機械のせいにするわけにはいかないケースがほとんどなのが現状のようで、原因の多くはヒューマンエラー、いわゆる人のミスだという。車の安全性が向上しても運転するのは人であるように、少しの不注意が大事故につながる。どれだけ機械や設備の性能が上がっても、結局は人次第ということに尽きる。
 元日早々、和歌山県民の携帯電話に嫌な音が鳴り響いた。津波情報の誤報はいまさら説明するまでもないだろう。地震が起こっていない中で、おそらく間違いだとほとんどの人が思っただろうが、これも訓練と思い子どもたちを連れて近くの高台に避難した。元日から迷惑な話という人も多かったろうが、結果的には大事に至らず、いい訓練にもなってよかったと思うしかない。この誤報も機械の誤作動ではなくヒューマンエラーだったと県が発表した。このミスを教訓に、同じ失敗を繰り返さないよう、なぜミスが起こってしまったのか、見逃されてしまったのかの検証は必要だろう。
 阪神淡路大震災からもうすぐ21年になる。自然災害は人の力でなくすことはできないが、災害から命を守ることはできる、と思えるほど国民の防災意識が高まった21年間だったのではないだろうか。この間に経験した東日本大震災では、石巻市の大川小学校で起こった悲劇のように、ヒューマンエラーといわざるを得ない悲しい出来事もあった。だからこそ我々は常に細心の注意を払い、いまここで巨大地震が起こったらどうすべきかを考えておかなければ。元日のエリアメールに危機意識を再認識した。(片)