御坊市湯川町小松原の紀南電設㈱(林惠一代表取締役)とJICA(国際協力機構)が共同で進めているミャンマーの無電化地域への電力安定供給プロジェクトで、太陽光発電システムの取り付けが完了し、このほど現地で引き渡し式典が行われた。今回の事業では紀南電設が技術指導を担当し、2つの村の350世帯に明かりがともった。林代表は「和歌山県とミャンマーの友好がますます続いていくことを願っている」と話した。
日本の企業や大学などが持つ経験と技術を生かしてJICAと共同で開発途上国での協力活動を行う「JICA草の根協力事業」の一環。ミャンマーは無電化地域が多く、今回はヤンゴン市から車や船で約3時間のミータイ村とアタヤゥン村の無電化を解消しようと、平成25年に草の根協力事業の実施が決定。村の調査や政府との調整などを進めて昨年7月には2村の若者5人とエンジニア2人、政府関係者3人が紀南電設で研修を受けて技術を習得していた。
 雨季が終わった秋ごろから工事がスタート。2村合わせて350世帯に太陽光パネル1枚とバッテリー、チャージコントローラー、インバーター等を取り付け、直管型LED2本(大洋化学製)とボール球型LED1個を設置する作業は12月に完了。これまで電気がなかった村にようやく明かりがともった。事業期間はことし12月までで、紀南電設は引き続き、メンテナンス指導やサポートを行っていく。
 ミータイ村で行われた太陽光発電システムと関連機器の引き渡し式典には、林代表やJICA、県関係者も出席。林代表がミャンマー畜水産・地方開発省のウー・ティン・グェ副大臣に目録を手渡し、事業へのお礼として感謝状を受け取った。林代表は、住民の協力で設置できたことに感謝した上で「技術を習得した若い人を中心に、村の皆さんに技術移転ができるようにさらに頑張っていきたい。メンテナンスも立派にやり遂げていただき、末永く活用していただくことが私たちの願いです」とあいさつした。ウー副大臣は「安定した電気を使えるというのは国の発展に重要な要素。支援いただいた日本政府、紀南電設にお礼申し上げます」と感謝を述べた。林代表は「いつまでも明るい光をともすことができればうれしい。機会があればほかの村でも同じような事業を進められればありがたい」と話していた