日高町議会総務福祉常任委員会(芝充彦委員長)が30日に開かれ、平成26年度決算で大幅赤字が出た水道事業会計について、執行部から今後の見通しで説明を受けた。それによると、本年度から33年度まで毎年赤字が続き、以後黒字転換できるものの、老朽化に伴う水道施設の更新などで新たな支出が増える可能性もあり、「水道料金値上げの検討が必要」との見解。今後、値上げか、一般会計から補填(ほてん)かなどの議論が注目される。
 町の水道事業をみると、平成17年度からスタートして、前年度までの簡易水道から水道料金を13%値上げ。18、19年度で赤字となり、20年度から再び16%値上げ。以後、黒字だったが、25年度約600万円、26年度約5200万円の赤字が出た。今後の見通しについては平成37年度までを示しており、27年度2700万円、28年度2000万円、29年度700万円、30年度860万円、31年度1000万円、32年度1000万円、33年度800万円といずれも赤字。25年度からの累積赤字は約1億5000万円にのぼる。34年度からは、膜処理棟やポンプなど水道関連施設の減価償却費がなくなるため、赤字から黒字に転換。黒字額は34年度2900万円、35年度3000万円、36年度2700万円、37年度2700万円の見込み。ただ、執行部は「水道関連施設の減価償却が終わるということは、その施設の耐用年数もきてしまうということで、新築するか改修するかなどで支出が増える。また、この見通しには含まれていないが、管路延長39㌔の耐震化も必要になってくる」などと、見込み通り黒字が出るかどうか不透明であることを強調。さらに、「現金預金が2億3000万円あるため、いますぐ水道事業会計がどうこうなるものではないが、いずれ値上げの検討は出てくる」との考えを示した。その上で、「当面の赤字をなくそうと思えば、現行水道料金から20%の値上げが必要」と付け加えた。
 また、仮に値上げを回避、抑制するには、一般会計から繰り入れして補填する方法があり、執行部は「基準外繰り入れについては、全国的にしているところもあるが、公表はされていないため、把握していない」とした。このほか、川辺町周辺土地改良区に収めている源水購入費は年額4444万2000円(一日当たりの水量4000㌧×365日×定数28・185円×消費税1・08で算出)となっているが、委員からは「実際に使っている水量は約3分の2。もっと源水購入費を安くできないのか」などの意見もあった。
 芝委員長は「今回、水道会計の中身が分かったと思う。次回からは水道問題について踏み込んだ議論をしていきたい」と話しており、値上げを余議なくされるのか、それとも回避できるのかなどの話し合いになりそうだ。
 町の水道料金は現行の一般家庭で月額平均4769円。日高地方では由良町と並んで高額となっている。