由良町内に紀南最大の群生地があり、同町の町花にもなっている「スイセン」の花に美容効果の成分が含まれていることが、近畿大学薬学部の研究で明らかになった。町内の農家らでつくるNPO由良わくわく塾が、3年前に研究を依頼。しみ、そばかす予防や美白の効果があることが分かり、今後、新たな化粧品開発や町内の遊休農地活用、雇用の場創出などで地域活性化につながると期待されている。
 9日の町議会ゆら創生総合戦略調査特別委員会の中で、由良わくわく塾の顧問でもある藤田富三委員が「近畿大学からスイセンの花に薬効があるとの連絡が入った」と報告。それによると、詳細については近く近畿大学を訪問して聞くが、スイセンの花から美容に効果がある成分が抽出できることが確認され、現在、大学側が特許を申請中だという。
 当初、由良わくわく塾では、薬草栽培を通じて地域活性化を図ろうと、薬草の一種「カンゾウ」をメーンに栽培していく計画だったが、専門家らの話で「カンゾウは大半が中国からの輸入で、対抗していくのは難しい」との説明を受けた。そこで、顧問の吉田ひとみさんから「由良の町花はスイセン。スイセンは球根に毒があると言われているが、毒があるものは逆に薬になるのでは」との発案があり、同塾が近畿大学薬学部に花13㌔分と球根15㌔分を持ち込み、研究を依頼していた。
 今後、仮にスイセンを使った化粧水のようなものを開発するとすれば、化粧品会社や薬会社の協力が必要で、商業ベースに乗せるためにはいま以上に大量のスイセンを植える必要があるなどの課題もある。関係者は「由良町でオンリーワンの特産品開発や遊休農地の活用、雇用の場創出にもつながる可能性がある。さらに、町内でスイセンを増やす花いっぱい運動の推進にもつながる」と期待し、「町にも協力するよう要請していきたい」と話している。
 スイセンは昭和58年3月、町花に制定。大引の県立白崎青少年の家の周辺には、10万本を超える野生スイセンの群生地があり、12月から3月ごろまでが見ごろ。同青少年の家は毎年シーズン中にスイセン祭も催している。