長年にわたり伝統工芸品のてまりを作っている印南町印南の滝本宏子さん(79)は、7月2日からフランスのパリで開かれるヨーロッパ最大の日本文化の祭典「ジャパンエキスポ」に作品を出展する。彩りとデザイン豊かな20点で、「ヨーロッパの人たちに手まりの魅力を知ってもらえれば」と話している。
 ジャパンエキスポは書道や工芸、文学など伝統文化のほか、漫画や音楽、アニメ、ゲーム、自動車・バイク、ファッションに至るまで幅広いジャンルで日本文化を紹介する博覧会で、ことしで16回目。昨年は24万人が来場した。
 今回のジャパンエキスポへの出展は、以前東京であった手工芸指導者協会の作品展で、滝本さんのてまりがエキスポジャパン関係者の目に留まったことがきっかけ。滝本さんは、約2カ月かけて出展作品を仕上げた。鮮やかなオレンジの色が美しい「菊の花」をはじめ、「もみじと紅葉」「白梅とさくら」「すいれんの花」「交差かがりの調和」など、鮮やかな色彩と複雑な模様をあしらった力作。大きさは円周19㌢~48・5㌢。
 滝本さんにとって海外出展はクロアチアで開催された日本てまり文化振興協会以来2回目で、「この前テレビ番組でフランスの人はシックな感じのものを好む傾向があることを知りましたが、てまりの華やかでにぎやかな色合いと模様も素敵と思っていただければと思います。見て楽しんでいただければ」と話している。
 滝本さんは、30代の頃にてまりを習い始め、これまで数多くの作品を製作。日本てまりの会の教授資格も取得しており、地元印南町では「いなみ紀の国てまりの会」で指導。自宅にはてまりの部屋を設けて約5000個の作品を展示し、てまりの本も出版している。