巨大地震等の対策で由良、日高、美浜の3町は、11月1日から由良、美浜の戸籍データを専用の電子回線で日高町役場に送信し、保存、管理するシステムを稼働させる。津波被害が比較的少ないと予想される日高町役場にデータがあれば、由良、美浜のデータが津波被害などで消失しても、迅速に復旧が可能。町同士が協力しての戸籍データ管理は紀南エリアで初の試みとなる。
 戸籍データは出生、婚姻、死亡、離婚、養子縁組などで、日高町の正(メーン)サーバー、由良と美浜町の副サーバーを専用の電子回線で接続。由良、美浜から日高町が事務委託を受ける形で、送信されてきたデータを保存、管理する。由良と美浜町の役場は海に近い場所に建設されており、仮に津波などで戸籍データの管理システムが破損し、データが消えてしまってもバックアップができる。日高町に戸籍データが送られても、他町の内容は見ることができないようにして個人情報保護にも配慮する。
 全国的に東日本大震災後、戸籍データのバックアップシステムの必要性が言われ、すでに全国の各自治体とも国のバックアップセンターで戸籍データを保存、管理しているが、同センターのデータ送信は暗号化されているため、バックアップに時間がかかる。3町の場合はデータを暗号化せず、そのまま保存、管理するため、より一層スピーディーなバックアップが可能で、二重の安全管理にもなる。今回、3町は既設の戸籍データ管理システムのリース業者が同じだったということで協力することになったが、今後、他の自治体がシステムに参画することもできる。事業費は、3町合わせて5年間のサーバーのリース料や関連費用を含め約4500万円。3町で分担するため、経費削減にもつながる。同様のシステムは、湯浅町とかつらぎ町、高野町が10月からスタートさせる。