日高町と県が平成25年度から阿尾地内で進めている大規模災害時の避難広場建設は27年度末の工期を前に8割方工事が終わり、仮供用をスタート。万一のときに逃げ込めるようになった。阿尾地区は海と山に挟まれる地形のうえに人家が密集しており、これまで集落内、その周辺に大勢の住民が避難できる広場がなく、急傾斜地崩壊対策と併せて海抜20㍍の山の斜面を約1000人収容可能な平地に整備。15日には区民への周知と合わせて初の津波避難訓練が行われる。
 現場は集落北の山の斜面。総事業費2億5000万円、県がコンクリート枠を取り付けてがけ崩れを防ぐ急傾斜地崩壊対策事業として1億7000万円、日高町が避難広場整備事業として8000万円を負担する。
 避難広場は約10×100㍍の長方形、広さは1000平方㍍。海抜20㍍、阿尾漁港を一望できる高台に整備され、約1000人が1次避難できる。急傾斜地崩壊対策、避難広場整備とも東側(県道御坊由良線側)から工事が進められ、ことし2月末現在で約8割の進捗状況。大災害時の避難には使用できるようになったため、仮供用をスタートした。27年度末の両事業終了後には避難広場のアスファルト舗装、防護柵や手すり設置などの安全対策、防災資機材などの倉庫設置、新たな進入階段整備も計画されている。
 進入路は集落北の県道御坊由良線から西向きに取り付けられており、坂道を上っていけば避難広場に到着。幅員は3㍍あり、乗用車や緊急車両も通行できる。
 阿尾集落には約500人が住んでいる。これまでは集落内の白鬚神社や光徳寺西の空き地を避難場所指定していたが、数百人が逃げ込めるほどの広さはなかった。日高町の南海トラフの巨大地震発生時の津波想定は21分で1㍍の浸水深、最大11㍍の高さ。この広場を利用すれば、津波襲来までに集落のほとんどの住民が逃げ込むことが可能とみられている。
 初の避難訓練は15日午前9時から実施。県道御坊由良線沿いのゲート閉鎖も行う。
 役場産業建設課では「まだ避難広場は工事中のため利用は緊急時、訓練時のみとなります。普段の立ち入りは危険ですのでご遠慮下さい」と注意を呼びかけている。