みなべ町を流れる2級河川の古川が、「汚い川」の汚名を返上した。水質の指標となる生物化学的酸素要求量(BOD)が以前は環境基準を上回っていたが、平成25年度の調査で下回り、大きく改善されたことを示した
 過去の統計をみると、平成18年度には全国ワースト1にランキングされたことがあるほか、22年度はワースト2位、23年度がワースト12位などと下位が続いた。しかし、管理する県環境管理課や地元住民らの努力で、BODの数値が24年度の5.7㍉㌘/㍑から2.5㍉㌘/㍑に改善。環境基準となる3.0㍉㌘を下回った
 筆者はみなべ町を担当していることもあり、古川を目にすることが多い。お世辞にもきれいとは言いがたいが、全国で下位のランキングに位置づけられるほどなのか、と首をかしげる。実際に見たことのない人にとっては「都心部に流れている汚い川以上に汚れているのか」と思うに違いない
 みなべ町は梅が特産。近年は梅の消費拡大策として健康に対する効能をセールスポイントとして訴えている。しかし、町内を流れる川が環境基準を下回る汚い川だと、健康食品としてのイメージダウンにつながりかねない。そういう意味でも、今回の調査で基準をクリアできたことは大きい
 20年ほど前、山口県津和野市に観光で行ったことがある。街中の各所にはきれいな水が流れる水路があり、錦鯉がたくさん泳いでいたのを覚えている。その光景から、地域自体の情緒、清らかさが思われた。古川も環境基準のクリアだけで満足せず、豊富に水生生物が棲み、梅の収穫時期にはホタルが飛び交うような川になることを望みたい。水の美しさはその地域を映す指標でもある。 (雄)