田辺市龍神村の龍神森林組合(真砂佳明組合長)の材木初市が9日に事務所近くの共販所で行われ、平均単価は昨年の初市より約2割安の1万2880円で取り引きされた。昨年4月に消費税がアップされ、その後は住宅の建築件数が低迷したことが大きく影響した。真砂組合長は「ことしは厳しい出足となったが、景気が回復して木材の価格に反映されることに期待したい」と話していた。
 スギとヒノキの内訳をみると、スギが1立方㍍当たりの平均単価1万2090円で、昨年初市の1万5300円から約2割の下落。ヒノキは1万5087円で、昨年の1万7000円より1割程度ダウンした。昨年の初市は、4月に実施された消費増税前の駆け込み需要で前年の平成25年より3割程度高い数字だったが、ことしは増税後に住宅建築件数が減少した。アベノミクスによる円安から外国材の輸入価格が上昇したことで国産材の競争力が高まったが、増税後の反動で木材需要が低迷したことが大きかったとみられる。この日は2534立方㍍のスギやヒノキが販売され、売り上げ総額は3264万1366円だった。真砂組合長は「増税後の木材需要の低迷は想定内だったが、昨年と比べると厳しい初市となった。今後、国産材の需要が拡大することに期待したい」と話していた。
 龍神村森林組合の市は昭和47年に開設され、50年代半ばには平均価格が7万円を超えたこともあったが、外国材の輸入増などが響き近年は低迷が続いている。平成24年7月に開かれた市ではユーロ危機によるユーロ安が影響し、輸入材の価格が下落し、過去最低の8000円台となったこともある。