新しい年がスタートした。昨年はアベノミクスが大きく取り上げられた。日経平均の株価も上昇。特に円安効果で輸出産業の企業が好景気となったようだ。一方、国民の生活に目を向けると、その効果は隅々にまで浸透してはおらず、4月から実施された消費税アップなどもあって苦しい家計となったのではなかろうか。
 紀南地方では主産業の梅の景気が低迷した。大きな流れでみれば、米の消費量が低下しており、梅の消費を鈍らせていることが大きな要因だろう。短いスパンでみると、豊作による1次加工品の梅干し在庫が増えていることが大きい。
 ことしは梅産地にとって大きな出来事が重なる年である。梅の栽培面では、南高梅が種苗名称登録されて50年目。梅の花でも、梅の里観梅協会の発足からもちょうど50年。栽培と観梅がそろって記念となる年を迎えた。加えて、みなべと田辺の産地では、自然と調和した栽培方法「梅システム」の世界農業遺産登録を進めている。順調にいけば、5~6月ごろに国連連合食糧農業機関(FAO)に登録される見通しだ。不景気の流れを変えるだけの好材料はそろっているのではないか。しかし、節目の年を迎えて過去を振り返るだけでなく、未来を見ることが重要。登録だけに終わらせるのではなく、明日への取り組みにつなげなければ意味はない。
 未年の「未」という字は、枝がのびきらずにいる「木」の部分を表しているそうだ。果実が熟しきっていない未熟な状態という意味もあるらしい。「未」には成長するという可能性が含まれている。ことしは、さらに産地が飛躍する年になりますように。    (雄)