日高地方では秋祭りがたけなわだ。今月に入り、毎週日曜日にはそこかしこの神社で催されている。聞こえてくる笛や太鼓の音色は昔とまったく変わりなく、幼い頃の記憶が蘇っている。しかし、今と昔を比較した場合、年配者からよく聞くのが「以前はもっと大勢の人が参加し、いま以上に盛り上がっていた」という声。事実、現在は屋台や神輿の担ぎ手が不足し、以前のように決まった日に開催される神社が少なくなり、多くの祭りが日曜日や祝祭日に変更された。
 みなべ町の鹿島神社の秋祭りも日曜日の去る19日に行われた。ことしは芝崎地区のふとん太鼓が4年ぶり、南道の奴行列が3年ぶりに登場。ふとん太鼓は重さ2㌧もある太鼓台で、若者らが担ぎ上げる光景は迫力満点。南道の奴行列は田辺城主・安藤帯刀の田辺城入城を再現したといわれ、虎や竜の刺繍が入った腰巻を着けて独特の踊りが披露された。祭りの見どころともなり、例年以上の人出でにぎわった。祭りが終わってからも「ことしはとてもよかった」という住民の声があちこちで聞かれた。
 祭りは、人が集まらなければ盛り上がらないのは言うまでもない。日高地方では人口減に歯止めがかからない状態だが、祭りは年に1度の地域最大世代間交流イベント。力を合わせて神輿や屋台を担ぎ、獅子舞の奉納でも笛や太鼓の奏者がいなければ成り立たず、協力し合いながら物事を進めていく。それは希薄になりつつある住民間の交流を深めることにもつながる。
 ことしは少しシャイな人も、お酒の力など借りてハッスルしてみてはどうだろう。しかし、行き過ぎた言動には自己責任で注意を...。 (雄)