実は、ここ御坊から和歌山市まで、自分で車を運転して行ったことは数えるほどしかない。高速道路に乗るとドキドキし、国道でも車線変更のたびドキドキして心臓に悪いので、JRを利用することにしている
 先日、久しぶりにJRで和歌山市へ出かけた。20年以上も前の学生時代によく利用していたJRきのくに線だが、その頃と比べるといろんな点が変わった。昔は見ることのなかった女性職員が爽やかに応対してくれる。バスのような一人掛けの座席がある。特急でなく快速でも、座席が進行方向を向くように変えられる。今回は、ドアが自動的に開かず、乗客自身がボタンで開閉することに驚いた
 ドアの横に開・閉ボタンがあり、停車時に開ボタンが点灯、押すとドアが開く。乗降客のいない駅では当然閉まったままである。発車時には従来通りすべてのドアが自動的に閉まっていた。「半自動」というそうだ。きのくに線に導入されたことは知らなかったが、乗る人も降りる人もスムーズに利用していた。帰りは藤並まで座れずドア脇に立ったので、駅に着くたびドアの開閉役を務めることになった
 JR担当記者にきくと、主に車内の温度を一定に保つのが目的とのこと。必要のない開閉をやめることと空調設備を効果的に使うことで、省エネにもつながる。学生時代に地下鉄などを利用した時、ドアにもたれてウトウトしたり、閉まりかけるドアにはさまれそうになったりしたことがよくあった。それを思うと、状況を見ながら人が自分の手で開ける半自動ドアは、安全対策にもなっている気がした
 来年の紀の国わかやま国体を控え、県全体におもてなしの心が求められる。たまに公共交通機関を利用したことで、きめ細かな心配りをみることができた。 (里)