県は来年度も「安全と安心」「未来への投資」の2つを柱に、防災や医療、国体、教育等の新政策を進める。地震津波対策では津波からの避難困難地域の解消を最優先に、これまでの住宅や大規模宿泊施設等の耐震化に加え、住宅の耐震化を補完するための耐震ベッドの設置を促進。16日には紀南地方、17日には紀北地方の市町村長に仁坂吉伸知事が概要を説明、具体的な政策の策定、予算編成に向け意見を交換する。
 県は長期総合計画に掲げる「未来に羽ばたく元気な和歌山」の実現を目指し、毎年、事業を見直しながら県政の課題に対応する重点政策を「新政策」として策定。平成27年度も本年度と同じく「安全と安心」「未来への投資」の2つを柱に、このほど仁坂知事がその主な内容と基本的な考え方を発表した。
 「安全と安心」の政策では、「津波から『逃げ切る』支援対策プログラム」に基づき、避難困難地域の解消を最優先に▽河川・港湾等の堤防の強化▽住宅の高台移転や避難ビル建設による地域改造▽避難施設や避難路の確保――などを推進。建物の耐震化については、これまで補助金等で支援してきた住宅と旅館や病院など大規模施設の耐震化に加え、新たに住宅耐震化を補完するための耐震ベッドの設置などを進める。
 耐震ベッドとは、地震災害で多い家屋の崩壊や家具の転倒から身を守るため、ベッドの上に鉄骨フレームなどによる空間があるベッドのこと。新耐震基準(昭和56年)以前の古い建物で、耐震診断の結果が基準を満たさない人などを対象とする方向で検討が進められている。
 このほか、暮らしに安心を届ける政策としては少子化対策もあり、若い世代に結婚や子育ての素晴らしさを認識してもらうための結婚・子育てポジティブキャンペーン(啓発)を県内各地で開催。紀の国わかやま国体では男女総合優勝を目指し、紀の国わかやま大会では障害に対する理解と障害者の社会参加を促進する。
 これら来年度の新政策は県内市町村長の意見も参考にしながら決定。16日には田辺市役所別館で日高郡以南17市町村長と仁坂知事ら県幹部の意見交換会が開かれる。