先日、温泉の観光地へ行ってきた。トイレに立ち寄ったついでにその施設の店員さんに「この先で日帰りで利用できる家族風呂のある施設はありますか」と尋ねてみた。少し調べてもらったが、はっきりしたことは分からなかったので結局自分たちで観光ガイドの電話を使って問い合わせた。店員さんは間違ったことを教えられないのできちんと親切に対応してくれ、気持ちよく感じた半面、地域の観光施設についてもっとよく知っておけば、より一層観光客をスムーズに迎えることができるという気もした。
 もう15年以上も前の話。著名な政治評論家を車で送迎した。ハンドルを握る筆者に政治評論家は突然、「アメリカ村について知っていることを教えてほしい」と質問。「あまり分かりません」と答えると、かなり機嫌を損ねてしまった。その後の講演の冒頭、筆者とのやり取りの話をされ、地元のことを地元の人が知らないのは恥ずかしいと指摘された。
 地元の人に質問をして、すぐに答えが返ってくる。これもいまブームの「おもてなし」の一つであったと思う。おもてなしとは観光関係者だけでなく、地域に住む人たち全体の問題だなと政治評論家との体験を思い出し、あらためて感じた。
 外国人が日本に来ればほとんどが「美しいまち」と感想を話す。ずっと昔からそうだったと思っていたが、東京では前回の五輪の前まで道路にゴミが落ちていたりする光景がよく見られたと聞いたことがある。五輪を契機に、住民の意識が変わり、美しいまちが定着したという。やはり地域全体の力は大きい。
 和歌山DCが始まり、来年は国体。住民一人一人がまちの印象を決めると心にとどめ、他府県の人たちを迎えたい。    (賀)