美浜町の森下誠史町長は9日、町内の男性から田井畑地内の土地の寄付を受けたことを議会に報告し、今後、地区の防災対策に活用する方向で検討していく考えを示した。土地は大川橋の東詰めの南側で、広さは約2300平方㍍。田井畑地区は巨大地震の津波に備えた避難場所の整備が課題となっており、住民の間では今回の土地を「盛土式の避難施設に」という声もあるという。
 土地は大川橋東詰め交差点の南側にある空き地で、西川寄りの約700坪。ことし6月末に所有者の下田雅俊さん(吉原)から「美浜町と田井畑地区のために有効活用してほしい」と寄付の申し出があり、7月2日付で所有権の移転手続きを行った。9日の議会本会議で森下町長が寄付を受けたことを報告し、「現時点で具体案はないが、田井畑地区の防災対策に活用できるのではと考えている」と述べた。
 町は現在、吉原(新浜)地内の松原郵便局裏手の松林に約2000人が避難できる盛土工法の築山(高台避難施設)を整備する事業に着手しており、本年度で基本・実施設計、27年度で諸手続きを終え、28年度中に着工、完成の見通し。この築山整備に必要な大量の土は高速道路建設等の残土をもらうことを検討中で、寄付された土地は当面、松原地区の築山工事の土のストックヤードとして活用することを考えているという。
 田井畑から松原地区の築山までは遠くはないが、住民の間では災害時に大川橋を渡って避難することに不安を持つ人も少なくない。町は古くなって使用されていない旧田井畑集会所を撤去した跡地に避難タワーを整備する計画で、本年度は解体のための設計業務を進めていた。今回の土地の寄付により、このタワー計画が変わることも予想され、地元では公園にもなる築山を望む声もあるという。