盆で学生たちが帰省するのに合わせ、県経営者協会就職支援センター主催の日高地方Uターンフェアが14日、御坊市民文化会館で開かれ、ことしは過去最多の30社が参加した。参加学生は前年から減ったが、内定者が増えているとの見方もあり、主催者では「景気回復の兆しかも」と分析。一方で、参加した老人福祉施設関係者からは慢性的な人材不足に悩む切実な声も聞かれた。
 これまで最も参加企業が多かったのは平成19年の27社で、ことしは3社上回った。業種別では製造業が10社で最多、以下は医療・福祉5社、運輸3社、建設2社などと続いている。求人数は過去最多とはいかなかったが115人あり、うち正社員は103人。求人数に占める正社員の割合は全体の約90%を占め、前年の74%から16㌽上昇した。一方で参加者は65人で前年から12人減少した。ハローワーク御坊では「学生の数自体が年々減ってきているので一概にはいえないが、すでに就職が決まっているという見方もできる。参加企業が増えたことについても、断定はできないが、景気が上向いてきているのが要因ならうれしいし、主催者側としては本当にありがたい」と歓迎していた。
 同会館小ホールには30社のブースが並び、スーツ姿の学生や一般希望者が各社の担当者からじっくり話を聞いていた。来年3月卒業予定の大学生山西真子さん(21)=御坊市=は「やっぱり地元で働きたいので参加しました。事務職希望なので、数社の話を聞こうと思っています」とやる気満々。すでに帰省している御坊市の女性(24)は「じっくり話を聞けるので、こういう機会はすごく助かります」と笑顔で話していた。
 参加企業側からは人材不足解消に苦戦している声も聞かれた。ここ数年参加を続けている特別養護老人ホームカルフール・ド・ルポ印南の人事を担当している塩見哲史さん(38)は「このフェアが毎年採用につながっているので、本当にありがたい」と感謝しながら「介護職員の人材不足はうちだけではないと思います。増え続ける施設に、職員の絶対数が少ないのが現状。これからも仕事の魅力を発信し、このような機会を生かしていい人材の確保に努めていきたい」と力を込めていた。