財団法人ふるさと振興公社、元嘱託職員の男性(55)による有害鳥獣捕獲報奨金の不正受給疑惑問題の全容解明に当たっている日高川町の議会百条委員会の原孝文委員長は6日、臨時議会のなかで、中間報告を行った。証人尋問の結果、元嘱託職員が町との話し合い同様に「何もしていない」と容疑を否認していることを明らかにし、今後裁判となる可能性もあることから、早期の全容解明は困難と判断、検察庁の動向を注視しながら調査を継続していく方針を示した。
 元嘱託職員の男性(3月5日に解雇)は、虚偽の書類申請で町から10万5000円を不正にだまし取ったとして、3月24日に書類送検されている。現在のところ、起訴か不起訴か確定していない。県警の捜査では被害が裏付けされたのはこの7件の容疑で、県警の発表では「100件以上はやった」とも供述しているという。この問題を受け議会では百条委員会を設置。これまで7回の委員会を開き、関係書類の調査や関係者に話を聴くなどして事件の全容解明に努めてきた。
 この日、原委員長は委員会設置の経緯とこれまでの調査内容を報告。それによると証人尋問では、元嘱託職員は不正受給の方法・件数等、警察の証言について「警察で何を言ったか覚えていない」「警察で立件された7件、(供述したと発表があった)100件以上についても覚えていない」「警察でも〝覚えていない〟と言った」「私は何もしていない」と回答。提出した報奨金申請の確認作業(誰がどのように行ったか)には「分からない。確認作業に関わっていない」、問題の舞台となったジビエ工房で受け付けた申請に対する報奨金の受け渡し方法は「公社決済のあと、領収書へ名前を書いて公社の係から受け取った。それ以上は分からない」と答え、立件された7件を含めすべて事件との関わりを否定している。元ジビエ工房担当職員は、不正を見つけられなかったのかの質問に対して、「持ち込まれた獣の確認はほとんどすべて私が行い、問題はなかった」と答えている。
 しかし、元嘱託職員の報奨金申請が年間425頭と驚異的に多く、委員会では不正の可能性が高いと見られる申請と現金の受け取り方法について▽捕獲した1頭の獣で2回申請した 農家などに処理を任された獣を自分が銃で捕ったと申請した▽他人が申請しすでに報奨金が支払われた獣を再度自分が捕ったと申請した――などと推測。これらの方法で報奨金を受け取ったとする着眼点で調査していることも明かした。
 原委員長は今後の調査の進め方として「元嘱託職員の男性が検察庁でも否認を続けるなら、裁判になる可能性が高く、事件の全容解明にはしばらく時間を要することになる。検察庁の動向を注視しながらさらなる書類調査、また必要な関係者の証人・参考人招致など行いながら全容解明に努める」と述べた。最後に、調査のなかで制度の不備や改善点が明らかになったとし、第1次提言として銃(1万5000円)とワナ・オリ(6000円)の報奨金の統一、申請受付を本庁・支所に限定し複数の職員が担当する、捕獲者個人への振り込みによる報奨金の支払い、はっきり認識できる証拠写真の提出としっぽ・耳など現物確認、証拠物は細かく断裁して焼却処分することなど求めた。