みなべ町と田辺市の梅産地としての農業システムを世界農業遺産に登録しようと取り組んでいる地元の推進協議会(会長・小谷芳正みなべ町長)は23日、紀州南部ロイヤルホテルで第2回総会を開催。農林水産省に提出する申請書案を可決し、今月中に提出することを決めた。今後は同省での専門家会議でプレゼンテーションなどが行われ、順調に進めば来年5・6月ごろに決まる見込み。
 世界農業遺産は伝統的な農業・農法などを次世代に継承するシステムで、国連食糧農業機関(FAO、本部イタリア)が認定する。これまで世界31地域、国内では石川県能登半島(能登の里山海岸)、静岡県(静岡の茶草場農法)など5地域が認定を受けている。
 総会では小谷会長が「皆さんの協力を得ながら登録を目指して取り組んでいきたい」とあいさつし、意気込みを示した。可決された申請書では名称を「みなべ・田辺の梅システム」とし、「生産可能な梅の栽培を約400年前から始め、雑木林を薪炭林として保全してきた。薪炭林と梅林は独特の美しい景観を形成し、薪炭林から梅林、そして水田等に至る水の流れは多種多様な動植物の生息・生育環境を保全し、梅をはじめ多様な農産物の栽培を可能にしてきた」などと記載。FAOの登録基準の5項目 食料及び生計の保障 生物多様性及び生態系機能 知識システム及び適応技術 文化・価値感及び社会組織▽優れた景観及び土地と水資源管理の特徴――を盛り込んでいる。
 今後のスケジュールは、9月8日に東京で申請地域によるプレゼンテーション、同月中旬から10月下旬にかけて同省の現地調査を実施。10月下旬に国内からの申請に対して可否結果が発表となる。順調に進めば12月にFAOに申請、来年1~3月にFAOによる現地調査が行われ、5~6月に開催される世界農業遺産国際フォーラムで決まる。
 同省は「各地の地方紙などの記事から判断すると全国6~7地域で協議会が立ち上げられているようだ」とし、これまで日本から提出した5地域はすべて認定されているという。