日高高校(上田優人校長)は26日、体育館で創立100周年記念事業第2回国際フォーラム講演会を開き、JICA(国際協力機構)関西国際センター所長の築野元則(つのもとのり)氏を招き「国際協力のすすめ」をテーマに聴いた。築野氏は日本と各国との問題やASEANとの関係について「若者レベルで友好関係を築くことが大切」と訴え、10月に同校で開催されるアジア高校生国際フォーラムに期待を寄せた。
 築野氏は和歌山県出身、橋本高校を卒業し、東京大学法学部へ進んだ。大学時代にボランティアを通じて日本社会が抱える問題を理解し、また国際政治のゼミで南北問題(先進国と発展途上国との間の経済的格差問題)に関心を持ち、貧困や紛争に苦しむ途上国への支援を志し、1981年にJICAの前身となる海外経済協力基金(OECF)に入社。以降、JICAのベトナム所長などを務めた。
 講演ではJICAが実施機関となっている政府開発援助(ODA)の必要性について、日本が戦後復興へ支援を受けた国際社会への恩返しや、日本が食糧やエネルギーで他国と深くかかわっていることなどを説明。ASEAN諸国へのこれまでの支援も紹介し、中でも自身が活動していたベトナムではODA事業を通じて多くの指導者と交流し、厚い関係ができていることを説明した。
 一方で、現在起こっているベトナムと中国との南シナ海問題も取り上げ、「このような緊張関係ではASEAN諸国も安定して発展していくことはできない。安定のために日本や韓国などアジアの主要国が協力していかなければならないが、歴史問題などがありうまくいっていないのが現状。これは私たち世代の問題でもありますが、次の時代を担う皆さんの問題にもなる」と指摘。解決に向けては「皆さんのような若者レベルで信頼関係を築いていくことが重要」と主張し、「日高高校のアジア高校生国際フォーラムはその貴重な一歩になる。主人公の皆さんの力に期待したい」とエールを送った。