ごぼう商工祭が25日に旧御坊町の寺内町一帯で行われる。6年目となる今回のテーマは「寺内町を楽しむ」となっている。
 多彩なイベントの中でも注目は、人力車での寺内町散策。浅草で活動しているプロの引き手「車夫(しゃふ)」と人力車を呼んで、小竹八幡神社と日高別院を往復するコース(片道15分で500円)を設定している。御坊でかつて人力車が走っていた話は聞かないが、大正から昭和初期にかけての古い町並みが残る寺内町に人力車のイメージはなかなかマッチすると思う。
 となると、本格的に御坊でも観光客向けの人力車を走らせることができないだろうかと考える。全国的には人力車が体験できる観光地はたくさんあるし、人力車の古い歴史を持った土地もあり、御坊で走らせるとなると、もはや〝何番煎じ〟になるのか分からない。それでも語り部も兼ねた車夫が解説しながら人力車で町並みを散策するのは結構オツなものかもしれない。そして何より、人力車が御坊の寺内町の散策に向いていると思うのは、古い建物が集中してあるのではなく、点在しているところ。この点在しているというのは、歩く距離が長くなる点で観光地としてはマイナス要因にもなりえるが、だからこそ人力車が役に立つ。健康増進も兼ねてあえて歩くのがいいという観光客には、そうしてもらえばいい話である。
 とはいうものの、経費や労力がかかる人力車はボランティアだとできないだろうし、商売として立ち上げたとしても、PRや誘客のための工夫、努力が必要で、すぐに儲かるようなところまではいかないか。何にしても商工祭で人力車に一度乗ってみて、いつもと違う目線で寺内町の将来を考える機会になればと願う。(吉)