西日本電信電話㈱(NTT西日本)は、津波避難ビルとして御坊市と協定を結んでいる薗地内、御坊別館ビルのドアを、外部から解錠できるよう特殊な改修を行い、20日に地元区長らに説明会を開いた。ドアの一部を破壊して鍵がなくても開けられる仕組み。災害時には、これまで鍵を保管している地元区長らが開けることになっていたが、これで一層スムーズな避難に役立ちそうだ。
 ドアの一部が大きさ20㌢四方、厚さ5㍉程度の石膏ボードのような材質でつくられており、もしもの場合は手や石で破壊し、手を突っ込んでドアの鍵を回す仕組み。1階と4階のドアに設置しており、今回はサンプル品を使って実際に参加者の一人が解錠を行った。ある程度力を入れて拳でたたくと破壊でき、うまく鍵を開けることができた。鍵がなくても入れることで平常時のセキュリティーが問題になるが、ドアの一部を破壊すると警備会社に通報が入るようになっている。同行した市防災対策課の大川秀樹課長は「NTTさんの協力と世耕事務所、二階事務所のはからいで整備できました」と説明した。改修費の32万4000円は、市が全額負担した。
 市街地には津波の一時避難ができるような高い建物や場所が少ないため、4階建ての同社御坊別館ビル(高さ15㍍、340人収容可)は貴重な避難場所となっており、御坊市は地震発生時に活用できるよう、NTT西日本と平成24年1月に災害協定を締結。同ビルには外階段がなく、裏手のドアから入るための鍵をこれまで地元区長3人と市役所が保管していた。しかし、地元住民らが避難訓練を行う上で、「鍵の到着を待っていてはスムーズに避難できない」などの不安の声が出ていた。