先日、新潟県佐渡市で国内の野生下で生まれたトキの雄と放鳥した雌のつがいからひなが生まれたというニュースが報じられた。6年前からトキの放鳥を行ってきたが、野生のトキを親に持つ「3世」が生まれたのは初めてだという。トキは乱獲によって生息する個体数が激減し、特別天然記念物にもなっている。
 減っているのはトキだけでない。日本の人口も同じだ。平成16年12月にピークとなる1億2784万人人となったが、以後は減少が続いている。今後の推計では12年後の38年に1億2000万人を割り、34年後に1億人を切り、46年後の72年には8674万人になるという。
 地方はさらに人口減が深刻だ。筆者が担当するみなべ町の出生数をみてみても年々減少している。平成23年度では100人を切り、過去最少となる96人まで落ち込んだ。南部小学校の全児童数が1368人だったという戦後の昭和21年当時と比べると、現在の状況はかなり寂しい。
 先日、有識者で組織する「日本創成会議」が人口の将来的な推移を発表。地方から都心部への人口流出が激しく、いまのペースが続けば、30年間で20~30歳代の女性が半分以下になる自治体が全体の約半数に当たる896市区町村になると推計した。まさに地方の自治体は危機的な状況にあるといえるだろう。
 人口が減ることにより経済が低下するほか、税収減にもつながり、住民サービスの低下など大きな問題がある。早急な対策を打たなければそう遠くはない未来に、日高地方の住人もトキのように〝絶滅危惧〟に指定されるような日が来るかもしれない。     (雄)