今月23日から5月12日までは「こどもの読書週間」だそうだ。この週間に関連してか、情報番組で、ある小学校で新設されたユニークな図書室が紹介されていた。寝ころんで読むスペースを設けるなど、子どもたちが自由に「読むこと」を楽しめるつくりにしているという。京大出身の芸人、宇治原史規は「国語ができればすべての教科ができるようになる」とコメントしていた。
 しかし、国語以外ほぼ壊滅状態だった筆者のような実例もある。その説は必ずしも当たっていないかも知れないが、読む能力が全てのジャンルへの知識欲を育むのは確かだろう。宇宙。太古の生き物。プロスポーツの世界。数百年前の戦国時代。どんなことでも読むことで理解を深め、いくらでも楽しめる。
 幼稚園で毎月キンダーブックをもらったのが筆者の読書体験の原点だが、年少組と年長組では中身が違っていた。年少組は、子羊と雲が一緒に遊ぶ「もこもこくんのおともだち」など文学的な物語。年長組では、モンシロチョウが他の虫の食事風景を見て回る「なにをたべているの」や「しょうぼう」「ゆうびん」など理科や社会科的な内容だった。読む楽しみを覚えさせると同時に、いろんな分野に興味を持たせる意図があったのだろうか。
 
 とはいえ、昔は関心を持った事柄は本で調べるのが普通だったが今は違う。何かに興味があればまずネットで検索する。情報をパソコン画面で見ることが普通となっている世代にとって、読書はどういう位置づけになるのか。幼少時、一冊の本の中で遊ぶ感激を知った身としては、未来を担う世代にもそれを体感してほしいのだが。こればかりは実際にその世代の成長を見ないと分からないのかもしれない。  (里)