日高川町上初湯川の中島知久平さん(65)は25日、東日本大震災で被災した岩手県釜石市の釜石湾漁業協同組合に自身が発明した「魚のうろこ取り器具」100個を届けた。平成23年9月の台風で被害を受けた日高川町が復興するきっかけにと考案した商品で、今回同組合の力になりたいとの思いから町を通じて送った。中島さんは「関係者の皆さんに喜んでいただき、復興へのさらなる元気と活気につながれば」と話している。
 中島さんは、明るい話題を提供することで、台風被害を受けた日高川町を元気にしたい、活気づけたいとの思いから商品を発明。先日、地震による津波で壊滅的な被害を受けた釜石湾から漁船が出港するニュースを見て、「復興に向かって頑張っておられる釜石の漁協の人たちの力になりたい、喜んでもらいたい」と商品の無償提供を決めた。
 この日、中島さんは役場を訪れ、「組合に尋ねてみたところ、漁師の皆さんが、うろこ取りに頭を悩ませており、ぜひいただきたいとのことでした。今度は釜石の皆さんに喜んでいただき、復興への手助けになれば」と市木久雄町長に商品を手渡した。市木町長は「互いに被災した地域。釜石はとても大きな被害でしたが、きっと喜んでくれると思います」と述べた。
 商品は、料理の際に多くの人を悩ませるうろこを飛び散らすことなく、楽々と取れる優れもの。どんな魚でもきれいにうろこを取り除くことができる上、軽くてコンパクト。洗浄も簡単でとても使いやすいと評判。店頭販売はされておらず、中島さん個人が販売しており、これまで県内を中心に150個ほど売れているという。
 昨年2月に特許を取得。昨秋の第53回暮らしの発明展(一般社団法人全国発明婦人会主催)で特賞の近畿経済産業局長賞を受賞している。