みなべ町議会は20日、公的年金の受給が段階的に引き上げられることを受けて無収入期間の解消措置として退職職員を再雇用する「再任用に関する条例の全部改正」を否決した。「現在雇用している臨時職員との賃金差に開きがある」「提出されていた条例案に雇用の条件面などが明確に記されていない」などとし、反対10人、賛成1人と、反対が圧倒的多数となった。
 公的年金の受給年齢は25年度から33年度までに段階的に引き上げられ、退職職員の無収入期間をなくす救済措置として提出された。再雇用は年金を受け取るまでの期間。再任用の条例化については、一般質問でも2議員が取り上げていた。
 この日の議案審議では、担当の松川史朗総務課長が提案した条例について「フルタイムではなく1週間に3~4日。一日の勤務時間数は7時間とする」などと説明。議員からの質疑で、雇用条件などについて問われた小谷芳正町長は「ポスト(仕事)がなければ再任用しないし、勤務歴が良好でなければならない。任命権者との話し合いになる」とし、町村合併当初から職員の再任用に関する条例はあるが「いまの条例には給与面などが明記されておらず、今回あらためて条例を提出したという意味合いもある」などと述べた。議員からの質問では「雇用条件が条例に明確に記されていない。町長が説明した雇用条件ではなく、条例に書かれている一言一句が一人歩きする可能性がある」「いま働いている臨時職員との給与格差が生じるのは理解できない」などと反対の意見が相次いだ。「合併して9年になるが、町職員の不祥事が相次いでいる。今回の再任用についても町民から『役場職員は気楽でいい。自分のことだけ考えている』という声も聞く」という趣旨の発言もあった。
 反対討論は佐々木香徳議員と真造賢二議員、賛成討論は森坂義明議員と井口雅裕議員がそれぞれ行った。井口議員の賛成討論は「前の条例をあらためるのは賛成だ」という趣旨。採決は起立によって行われ、森坂議員以外は反対だった。今回の条例改正案は日高郡の町村会でも協議し、全6町が12月議会に提出している。