平成24年度中、県内の公立小中高校、特別支援学校で認知されたいじめ件数は2356件で、前年度より24倍以上の大幅増となったことが県教委の調査で分かった。教職員の意識改革や児童生徒へのアンケート調査、知事、教育長のメール相談など対策を強化したことが要因。県教委は「教師の基準で判断せず、子どもの訴えをすべてくみ上げて対応した結果」とし、いじめの解消率も前年度を大きく上回った。
 県内の平成23年度の公立学校のいじめ認知件数は、小学校が20件、中学校が39件、高校が38件、特別支援学校がゼロの計97件だったが、24年度はそれぞれ1609件(1589件増)、485件(446件増)、 234件(196件増)、28件 (28件増)。いじめの具体的なケースとしては、小学校では「冷やかしやからかい、悪口などをいわれる」が約64%を占め、中学校、高校も同じ冷やかし、悪口が最多だった。
 全国的にいじめを苦にした中高生の自殺が相次いだことを受け、和歌山県教委は教職員のいじめ問題対応マニュアルを作成、県立校長会や教頭会、生徒指導部長会、市町村教委指導事務担当者会などであらためていじめの定義を徹底し、校内研修等を通じて教職員による早期発見、早期対応を重点に意識改革を進めた。24年度の認知件数大幅増はその結果とみられている。
 県教委は「いじめは国が定めた定義を基準に教師が判断するのではなく、子どもたちの訴えをしっかりと聞き、そのすべてをくみ上げて対応することが教師の責務」とし、きめ細かな対応の結果、認知件数の増加とともに、いじめの解消率も前年度の75・5%から95・8%まで上昇。「今後も定期的なアンケートを実施し、個人面談等で子どもたちの心を開かせ、一応の解決をみた問題も含め、1つ1つのケースに引き続ききめ細かく対応していきたい」と話している。