「新聞社の仕事って何ですか」と問われて「紙面を製作、印刷して読者の皆さんに届けること」なんて固執していたら、ペーパレス化が進む時代に置いてけぼりにされてしまうだろう。新聞社の仕事は当社の社是にもあるが「公平無私」で、「徹底した情報公開」「権力の監視」などの下、ニュースを皆さんに伝えることが一番でなければならないと思う。パソコンだけでなく、スマートフォンも登場。新聞は紙でなくなる時代も、そう遠くはない。新聞社も時代に合った情報提供の仕方が要求されてくる。
 「木を見て森を見ず」ということわざがある。1本1本の木に注意や関心が奪われると、森全体を見ないことから「物事の一部分や細部に気をとられてしまって全体を見失う」との意味だ。企業も「木を見て森を見ず」では時代の流れに取り残されて廃業に追い込まれてしまうが、特に政治はそうであってはならない。森を見失ってしまうと、国民の福祉はあり得ない。
 前政権を例に出せば分かりやすい。政権奪取を「森」と勘違いしたのか。それとも1本1本の「木」であるはずの子ども手当、高速無料化などの施策実現に注意を奪われる間に、国民の福祉という「森」を見失ってしまったのか。いずれにしても「森」が見えていなかったから、国民から見放され、政権から追われたのは間違いのない事実だ。
 アベノミクスが好調な現政権。強い経済復活は何のためなのかを忘れないでほしい。金持ちや大企業だけが好景気に沸き、庶民は消費増税で苦しい生活を強いられるような政治は御免だ。野党にも同じことが言える。将来の政権奪取より国民の福祉を第一に仕事をしてもらいたい。    (賀)