美浜町は住宅密集地や災害時の避難路沿いの空き家について、8日から各地区ごとに職員による実態調査を実施する。長年、人が住んでおらず、老朽化が激しく人が住める状態ではない家が対象。土地と建物の権利関係が複雑な場合は、県の景観支障防止条例なども絡めて地域の安全確保を進めていく。
 町内には現在、12地区合わせて約3200世帯の住宅があるが、これ以外に人が住んでいない空き家が年々増加傾向にある。南海地震など大規模災害に備えて避難路や避難場所の整備が求められるなか、高齢者だけが住む世帯が多い三尾地区などでは、すでに誰も住まなくなった空き家対策も地域の課題。なかには傾いたり、屋根が抜け落ちていたり危険な廃虚もあり、和田東地区では児童の通学路にもなっている狭い道路沿いの廃虚対策が問題となっている。
 町は地区懇談会や議会でこれらの廃虚対策を求める声を受け、職員が地区内を歩いて調べる実態調査を行うことを決めた。各地区に住む若手職員を中心として、8日から26日ごろまでをメドに、土地や建物には入らず外観を見て危険度を判断。結果、避難路等に危険が迫っているような場合は土地・建物の所有者に連絡をとり、連絡がとれず解決が難しい場合は、県の景観支障防止条例や津波避難路沿いの建築物等の制限条例も含めて対策を検討する。
 森下誠史町長は「災害時に生活道路や避難路が塞がれる危険があるようなケースは少ないだろうが、古い木造住宅はシロアリやアライグマなどの問題もある。地域の安全、安心の確保へ、まずは町内のどこにどのような空き家、廃虚があるのか、地図上に落とす作業から始めたい」と話している。