日高町方杭、町営温泉館「海の里 みちしおの湯」内に今夏、スキューバダイビング事業を展開する「日高ダイビングセンター」(仮称)がオープンする見通しとなった。和歌山市の専門業者が施設1階研修室を借りて経営。今月中にはほぼ必要な手続きなどの準備が終了し、7月13日のオープンを目指している。利用客は年間3000人以上を見込んでおり、低迷する温泉館の入館者アップや地域経済活性化にも一役買ってくれると期待が集まっている。
 町産業建設課によると、経営を行うのは和歌山市中之島のダイビングショップで串本町などでダイビング事業10年以上の実績がある㈲エストレン(倉田比呂志代表)。ことし2月中旬に町へ温泉館を利用したダイビング事業の申し入れがあり、ダイビングスポットのテスト潜水、比井崎漁業協同組合や地元関係地区との協議などを進めてきた。今月14日までに地元地区とは話し合いがまとまり、早ければ15日にも比井崎漁協と詰めの協議が終了。議会6月定例会で、温泉館の研修室使用に関係する条例改正案が可決されればほぼ準備が整う。
 ダイビングスポットは、方杭沖2カ所と小杭沖1カ所を確保。テスト潜水で安全性が確認されているほか、これまで田辺市の天神崎が本州最北端といわれている枝ミドリイシらしきサンゴも見つかっており、オープンすれば人気を呼びそうだ。㈲エストレンは関西に提携、契約ショップが300店以上あるといい、それらの店を通じての営業力も生かして初年度は9カ月弱で1700人、2年目は3000人、5年目には3800人の利用者予想を立てているという。
 ダイビング事業が始まれば、町には年間42万円ほどの温泉館施設使用料が入る。ダイビング客には温泉館を必ず利用してもらうようにするなどの協力も受けられるようで、メリットは大きい。また、㈲エストレンは比井崎漁協と「日高ダイビング協会」を設立。地元漁業者がダイビング客を現場までボートで運び、収入を得るという事業体制となり、経済効果も見込まれている。地元区には協力金が支払われる。
 日高地方では現在、由良町やみなべ町でダイビングが楽しめる。