国が国家公務員並みに地方自治体職員の給与を引き下げるよう要請している問題で、県内市町の間でも対応に違いが出ている。国家公務員を100とした地方公務員の給与水準を示すラスパイレス指数(国家公務員引き下げ後)をみると、日高地方7市町は御坊、美浜、由良、日高の4市町が100を超えており、うち美浜町は現行のまま引き下げない方針を決めた。
 国は東日本大震災の復興財源捻出を理由に、国家公務員の給与を平成24・25年度の2年間、平均で7・8%減額。都道府県や市町村の地方公務員に対しても足並みをそろえるよう、7月からの削減を要請している。
 和歌山県内の市町村は、昨年4月の国家公務員給与の引き下げ実施前まで、全30市町村が100を下回っていたが、国家公務員給与の7・8%削減実施により逆転。現在、23市町村が100を超える状況にあり、最高は田辺市の108・1、9市はすべて100以上となっている。
 日高地方は御坊市が105・9、美浜町が103・0、日高町が104・0、由良町が100・1で、100未満は印南町が97・4、みなべ町が99・5、日高川町が97・1。このうち、御坊市と由良町は7月から来年3月までの削減実施を決め、6月議会に提出する条例案を発表。日高町も引き下げる方針となっているが、美浜町は引き下げを見送る方針を決めた。
 美浜町は職員定数の削減や一般職管理職手当の引き下げ、森下誠史町長の給与10%カットなど、国に先行して独自の行財政改革を実施してきたことを今回の削減見送りの理由の1つに挙げる。県内のラスパイレス指数が100を超える23市町のうち、ほとんどは引き下げを実施するとみられるなか、美浜の森下町長は「国家公務員の給与引き下げで100を超えてしまったが、これも瞬間的な数値の変動で、来年4月以降はまた100を下回る。公務員給与の引き下げ実施は、地域経済や職員の仕事に対する意欲の面を考えてもマイナスになると考え、見送ることにした」と話している。