劇団RAKUYU(松本こうじ代表)の結成15周年記念、第10回公演「奇跡の人 ヘレン・ケラー物語」は9日、市民文化会館大ホールで上演された。見えず聞こえず話せないという三重苦を乗り越えたヘレン・ケラーと師のアニー・サリバンを、団員は体当たりで熱演。情熱をかけて全身で打ち込む教育が報われる物語に、大きな感動の拍手が送られた。
 アメリカ南部・アラバマ州の軍人の家庭。病気で視覚も聴覚も失った少女ヘレンのもとに、自身も視力が弱く盲学校を卒業したばかりのアニーが家庭教師としてやってくる。両親は教育の方法が分からずやりたいようにさせていたが、アニーは「自力で生きていけるようにしなければ」と、格闘しながらヘレンにテーブルマナーを教えていく。両親はそれで満足だったが、アニーは「言葉さえ覚えれば人とかかわり合える。闇の世界にいるヘレンになんとか光を」と指文字でアルファベットを教えるが、まねをして繰り返すことはできても、どうしても意味を理解できない。別荘で2人だけの生活を送り、あと少しのところまで成長したが、約束の期限が来て家に戻るとまた甘やかされ、マナーを無視して食事しようとする。「今きちんとやらなければ元に戻ってしまう」とヘレンをしかり、一緒に井戸に水をくみに行くアニー。水を手にかけながら「ウォーター」と指でつづった瞬間、ヘレンはその意味を理解し、言葉の存在に開眼。「大地」「階段」などの言葉を教わり家族と喜び合ったあと、ヘレンは初めて指で「先生」とつづり、アニーと抱き合う。若き教師アニーの一人の少女を思う情熱、献身的な努力が実を結んだ感動に、客席では涙する姿もみられた。
 全員が登場してのカーテンコールでは、素晴らしい演技をたたえて大きな拍手が送られた。