最近よく見聞きする「強靱(じん)」という言葉。ウィキペディアで調べてみると、強くて粘りがあること、強くてしなやかなこととある。さらに工学用語的には、強度(硬度)と靭性を兼ね備えた状態。強度は変形や破壊に耐える力、靱性は亀裂が入っても広がっていきにくい力。なるほど、自民党は東日本大震災以降、「国土強靱化」を進めようとしているが、災害に強くしなやかな国づくりを表すのに、強靱という言葉はぴったりだとあらためて感じる。
 先日、東京で二階俊博代議士が会長を務める志帥会主催の講演会があり、国土強靱化の提案者で京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授が強靱化の必要性などで語った。それによると、東日本大震災の建物のがれきの中で被災者のおじいさんが「もう1回作ればいい」と話しているニュース映像を見たのが、強靱化を思いついたきっかけ。日本人の強靱な精神に感動し、「今後日本が災害に遭っても立ち直らなければならない」と思ったという。
 しかし、被害を受けたあとに復旧をするには莫大な費用がかかる。このため、自民党が言う国土強靱化では、事前防災という概念で予算を投入。人的、物的被害の両面で減災、防災に役立てる。かつ、それが経済対策にもつながるということで、藤井教授の試算では現状のまま日本が災害を受ければ経済は沈むが、国土強靱化で100兆円を投入すれば経済は現状維持、200兆円を投入すれば逆に経済が成長するとしている。
 この試算をうのみにしていいのかどうかは分からないが、近い将来発生し、本県でも甚大な被害が想定されている巨大地震の対策として、この国土強靱化は大いに期待するところ。早期法案の成立を望む。
       (吉)