14日告示、19日投開票の日高川町首長選の立候補予定者公開討論会が6日夜、川辺西小学校体育館で開かれ、約600人が現職玉置俊久氏(63)=玄子=と元役場公室長の新人、市木久雄氏(61)=下田原=の政策や考えを聞いた。玉置氏は「観光」、市木氏は「若者専用住宅」という施策を批判されるも逆にしっかりとアピール。両氏は、相手候補が掲げている施策の財源について疑問をぶつけるなど火花を散らした。
 玉置氏、市木氏の両後援会会員や一般町民らでつくる「日高川町の明日を考える会」が主催。両氏が出馬への経緯や町に対する思いなど自己アピールし、討論がスタート。「日高川町をどのようなまちにしていくのか」「基幹産業の振興策、商工観光は?」「教育、福祉問題」の3つのテーマで持論を展開したあと、両氏による質問・討議が行われ、最後に司会者からの「生きがい対策」などの質問に答えた。
 メーンは両氏による質問・討議で、玉置氏からの質問は「若者専用住宅」、「子育て支援施策の財源」、市木氏は「防災・台風12号豪雨の対応」、「子育て支援の財源、観光施策」。子育て支援の財源について玉置氏は「さまざまな施策を掲げているが財源対策をどうするのか。特別職の報酬カット、イベントの見直しなどと言っているがどれくらい見込んでいるのか。きれいごとで終わらないのか心配」と疑問をぶつけ、市木氏は「町長をはじめとした特別職の報酬は1割以上カットしたい。イベントの見直し、職員が行った事業仕分けを参考にした行革で財源を確保できる。年間約100億の町財政の中で2・3億円は見直せる」と力説。逆に市木氏も「掲げている小学校まで給食無料化の費用は年間約2400万円。白馬山脈の風力発電事業による固定資産税を見込んでおられるが、今後実質750万円だけとなる。残りの費用をどうするのか」と首をかしげた。玉置氏は「風力発電事業が中心という考え方で、さまざまな事業の経費節減で財源を確保する。風力発電は現在稼働中の事業のほかにも、いくつか計画がある。これらを子どもたち、子育て世代のために重点的に使わせていただきたい」と訴えた。
 このほか玉置氏は、相手候補の重点施策、若者専用住宅(入居5年以上の人に土地と建物を安く払い下げる一戸建て住宅)について「若者専用住宅では移り住まねばならない。2世代3世代と近所に住むのが理想的と考える。本来は地域に自分が好きな家を建ててもらって町が支援する仕組みの方がいい」と攻撃。市木氏は「若い方々に住んでいただくには、働くところ・住む場所の確保が必要で両輪で進めねばならない。町にも公営住宅があるがほぼ満室の状況で、住宅は払い下げしたくても国の補助金の関係で出来にくい。町単独の施策で永住していただけると考える」とアピール。市木氏は相手候補の重点施策である観光について「各種イベントに500万円しか使っていないというが、人件費を含めるともっとかかっているはず。グリーンパークに1000万円で設置した観光看板、昨年町内で開催した星空の街・あおぞらの街全国大会はどれだけの効果があったのか」と反撃。これに対し玉置氏は「全国大会を誘致できたことは大変名誉なこと。高円宮妃久子さまにお越しいただいたという町の実力、この信用・信頼は一朝一夕で買えない。観光看板は効果があり、全国はもちろん、海外へも町を多いに発信できている」と強調した。
 3項目をテーマとした持論発表では両氏とも掲げている施策や思いをしっかりと訴え、最後はがっちりと握手を交わし、選挙戦の健闘を誓い合った。