人の意見に耳を傾けることは大切である。自分の頭で考えても思いつかなかった問題が、 他人からのアドバイスで簡単に解決することもある。 企業などの組織が物事をスムーズに進めようとする時には、当事者や担当者らの生の声を尊重する。 従業員の意見を反映させるため、 提案箱を設置する企業も多い。 中には提案を義務付けている会社さえある。
 住民の声を聞くという意味で歴史的に有名なのが、 江戸幕府8代将軍の徳川吉宗が行った目安箱。 政治・経済から日常の問題までの要望や不満を直訴させた。投書は住所・氏名記入式で、 記載されていない投書は破棄され、 回収された投書は将軍自ら検分したそうだ。だからこそ、江戸時代の3大改革といわれる享保の改革ができたのだろう。
 みなべ町でも3月の当初議会一般質問で議員が提案箱の設置を要望した。これがきっかけで、近く町内5カ所の公民館に置くことが決まった。 過去には旧南部川村で設置していたこともあったが、 要望は少なかったという。 しかし、 提案箱は住民が投書してくれるのをただ待つだけでなく、 行政側から課題や問題についての意見を住民に投げかけ、提案箱を通じて募るという方法もあると思う。 町民約1万5000人の中にはそれまで誰も思いつかなかったアイデアを持っている人もおられるかもしれない。 それを放っておくのはもったいない話だ。
 行政は 「住民の声を聞きながら事業を進めたい」 「住民が主役の行政を目指す」 と、 機会あるごとにそう話す。 それなら提案できる機会を積極的に提供すべきで、 提案箱の設置で活発な意見活動が展開されること期待したい。    (雄)