地域にとって、子どもたちの元気な声や笑顔はかけがえのない宝である。 先日完成したみなべ町清川保育所の竣工式典で、 田中昭彦町議会議長は「住民の活力になるし、栄養剤にもなる」と祝辞の中でそう表現した。 まさにその通りだ。 しかし、近年は少子化が進む一方。 30年ほど前に筆者が通っていた高校を例に挙げると、 当時は1学年で450人だったが、 いまでは半分程度にまで減っているという。
 みなべ町でも例外ではない。 小中学校の児童や生徒数は減少傾向を続けている。 特に山間部の高城と清川中の生徒数の減少が目立ち、 26年4月を目標に統合中学校の開校を目指して協議中だ。 ここで問題となってくるのがそれぞれ地域にとっての学校の歴史。校名には深い思い入れもあろうし、校歌や校章などには心に残る思い出を持っている人も多いだろう。そのためか、 両校の統合を推進する委員会が昨年10月に発足したが、校名が決まるまでに紆余曲折があった。今後も、校歌や校章の調整は一筋縄ではいきそうにない雰囲気だ。
 しかし、 校名などについての考えは地域の大人と子どもたちでは異なっているのかもしれない。 2月に両校で行われた交流授業では、いずれの生徒たちも生き生きとした表情を見せ、 そうしたこだわりは感じさせなかった。豊田泰猛教育長は 「子どもたちの笑顔のために大人がわだかまりを飲み込んで、先に進めていかなければならない」と、子どもたちに視線を向けた統合校づくりの必要性を述べた。 学校は地域住民にとっても親しみの深い施設。しかし、それ以上に地域の活力となる子どもたちの元気な声や笑顔を重視する必要がある。(雄)