カトリック教信徒約12億人の最高指導者である新しいローマ法王を選ぶ「コンクラーベ」が連日報道された。投票によって決まらなければ黒い煙、決まれば白い煙を出して投票結果を外部に知らせる。日本時間14日未明、2日目にして白い煙が上がった。筆者は仏教徒のため、どこの誰が法王になったのかそれほど関心はないが、注目したいのは投票といっても誰かが立候補するのではなく、毎回の投票結果から多数の支持を集められそうな人物を少しずつ絞っていくという点だ。出たい人より出てほしい人を選ぶ、理にかなっていて、だからこそ長く続いているのだろうか。日本の地方選挙とは違って共感する部分がある。
 その日本の選挙も新しい取り組みがスタートしそうだ。インターネットを使った選挙運動を解禁するための公職選挙法改正案が、自民、公明、日本維新の会の3党から衆院に提出された。成立すればホームページやブログ、ツイッター、フェイスブックなどを使って特定の候補者への投票を呼びかけられるようになる。パソコンや携帯電話を通じてインターネットの利用が普及している現状を考えれば当然の成り行きだろう。どの候補者がどんな考えを持っているのか、携帯電話一つですぐに分かる、いまの時代当たり前のことだ。
 ただ、ネット選挙が国民の政治離れを解消する起爆剤になるとは思わない。ネットはあくまで手段であって、選んでもらう側の資質が低ければ政治は変わらない。地方でも同じこと。出たい人より出てほしい人を選ぶ、コンクラーベ方式にまずは候補者をある程度選ぶ投票を行うのも面白い。白い煙が出るまでとことんやれば関心が高まるかも。(片)