昨夏、 内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会が公表した津波高等推計結果で、 最大18㍍の津波が押し寄せ、 まちの面積の半分近くが浸水すると予測された美浜町は来年度、 西山に避難地を整備するための基礎調査に乗り出す。 地震直後の一時避難ののち、 仮設住宅等の避難所も設営できるスペース。 緊急車両用の道路をつなぎ、 自衛隊の活動拠点としての活用も含め、 本格的に適地探しをスタートさせる。
内閣府が昨年8月に公表した津波高等の推計結果では、 美浜町に押し寄せる津波の高さは最大で18㍍ (県内ではすさみ町の18・3㍍に次いで2番目)、 地震発生からの津波の到達速度は10㍍の津波で29分後 (御坊市は10㍍で26分後)。 まちの面積に占める浸水面積の割合は県内で最も大きく、 45・3% (2番目は御坊市の23・7%) と予測されている。
 これら内閣府の推計結果の数字は県内沿岸部の住民に大きな衝撃を与え、 3つの小中学校と役場、 地域福祉センター以外に高い建物がなく、 住宅地のそばに住民が走って逃げられる丘や山もない美浜町にとって、 高台への避難地整備はいまや最大の課題。 森下誠史町長は来年度、 松原地区の高台避難地の地質調査等とあわせ、 西山 (標高約330㍍) に避難地となる場所の基礎調査も進めるため、 8日から始まる議会3月定例会に予算を提案する。
 防災企画課によると、 西山のふもとには和田西中、 和田西、 本ノ脇、 三尾の各地区があり、 現在、 三尾を除く3地区で計4カ所の一時避難所 (和田西中が2カ所) に通じる避難路を整備中。 今回、 調査のための予算を提案する高台避難地は、 まだ候補地も調査エリアも決まっていないが、 「これらよりはるかに大きく、 海抜は最低でも30㍍程度はほしい」 (同課) とし、 多方面からより多くの住民が避難できるよう、 複数の適地が見つかることを期待している。
 避難地には物資輸送車や緊急車両用の道路をつなぎ、 イメージとしては傷病者が出た場合にドクターヘリなどが離着陸できるヘリポート、 救援活動を行う自衛隊の資機材・車両の待機スペースも含む。 避難地が出来上がるまでには地権者との交渉、 急な斜面を切り開いての工事、 莫大な事業費などハードルも多く、 規模や完成時期の見通しもまったく立っていないが、 町は 「一日も早く高台避難地を整備したい」 と話している。