改正消防法で埋設後40年以上経過したガソリンスタンド(GS)の地下タンクの改修期限が今月末に迫り、全国的に廃業が相次ぐことが懸念されているいわゆる「2月危機」。日高地方でも対象となる古いタンクは多数あるが、市、日高広域両消防によると廃業が続出する「危機」は免れそうな状況だ。それでも郡部では複合的な要因もあってすでに1店が廃業、営業形態の変更を余儀なくされている店舗もあり、影響は出ている。
 老朽化した地下タンクからガソリン等が漏れ出す事故が全国的に相次いだことを受け、 平成23年2月に施行された改正消防法では、 埋設してから40年以上 (タンクの種類や施工方法によって30年や50年などさまざま) 経過した地下タンクは、 油漏れを防ぐための改修や交換を義務付けた。 2年間の猶予期間が設けられたことから今月末が期限で、 措置を講じなければ違反の対象となる。 ただ、 改修費はタンク内のコーティングで1基当たり数百万円するなど高額な設備投資が必要。 経営者の高齢化や不景気のあおりで、 全国的にはとくに過疎地域を中心に廃業する店舗が増えている。 地域によってはガソリン不足や身近な供給源がなくなることが懸念され、 「2月危機」 といわれている。
 市、 日高広域両消防によると、 今月末が期限となる地下タンクは、 市内と郡部合わせて18施設ある。 市内では現時点ですべての施設で改修済みもしくは改修の見込みで、 廃業を考えている店舗はなし。郡部では、今月末で廃業を考えている店舗が1件あるという。 県内でも和歌山市内を中心に廃業が多くなっているが、 日高地方は危機的な状況ではないといえる。ただ、ほかの要因も重なったためとはいえすでに郡部の1店舗が廃業、 同じく郡部で地下タンクの使用をやめて容量は少なくなるが地上でのポータブルタンクで営業を続ける店舗も出ている。 地下タンクを改修して営業を続ける事業所にとっても大きな負担となっており、 大きな影響を与えている。
 すでに改修を終えた市内のスタンドでは 「大きな出費となるが、 事故防止に必要なこと」 と理解。 別の関係者からは 「事故防止のためなので改正消防法は仕方がない。 ただ、 燃料はガソリン税にさらに消費税がかけられる2重課税。 不景気な上、 ガソリンが高騰して経営が厳しい中、 負担を減らす施策を講じてくれれば消費者も事業者も少しは楽になる」などと、 国の対応を求める切実な声も聞かれている。
 消防担当者は 「いまのところ危機は回避といえるが、 1年、 2年、 数年先に対象となるタンクもまだたくさんあり、 楽観できる状況ではない。 事業者の方々には負担となりますが、 事故防止のために理解してほしい」 と話している。