みなべ町堺、 西山浄土宗常福寺の畑﨑龍定名誉住職(84)は、 ことしも来年のえと 「巳」 にちなんだ色紙絵200枚を描いた。 還暦の檀家と初詣で客に贈る。 昭和45年から続けており、 ことしで44年目。 毎年絵に言葉を添えており、 今回選んだのは 「福恵」。 経文の言葉で、 『たくさん
の幸せに恵まれますように』 との思いを込めた。畑﨑名誉住職は色紙を手に、 「世の中が平和であってほしい」 と静かに願っている。
 還暦を迎えた檀家に災いのない人生を送ってもらおうと昭和45年から還暦式を始めたが、 子どものころから好きだった絵を描いてプレゼントしようと色紙絵も始めた。 年始の参拝客にも贈っている。
  「リアルなヘビは気持ち悪がる人もいるので」 と、 できるだけ抵抗のないよう大分県の民芸品でもあるヘビのおもちゃをイメージした絵、 イラスト調の絵と2種類を描いた。 添えた 「福恵」 の文字は、 経文の言葉 「福恵増長 (ふくえぞうちょう)」 の言葉から引いた。 「たくさんの幸せに恵まれ、 いつまでも長く続いていきますように」 との意味があり、 暗いニュースが多い中この2文字がひらめいたという。 11月上旬から1カ月ほどかけて完成させた。
  「幸せが多くなればいいが、 昨今は災いが増えるばかり。 尖閣諸島や竹島問題など国際的にも問題をかかえており、 まず一番に願うのは平和な世の中。 優しさと温かさ、 こんな世の中にも耐えていくたくましさを持ってほしい。 そんな願いを込めて描きました。 来年こそはいい年であってほしい」 と祈るように話している。
 畑﨑名誉住職は現在、 和歌山市在住。 同市梶取にある西山浄土宗別格本山壇林総持寺(そうじじ)の第六十九世貫主を務めている。