16日投開票の衆院選は早くも中盤入りし、9日には折り返しとなるラストサンデーを迎える。本県3区では、自民党前職の二階俊博候補(73)=市内島・当選9回=が政権奪還への期待を受けて手ごたえ十分。日本維新の会新人の山下大輔候補(45)=和歌山市=は第三極への期待でムードがじわりと上向きで、共産党新人の原矢寸久候補(61)=白浜町=も他党に対する政治不信でこれまで以上の好感触。各陣営とも後半戦に向けて一層気合が入っている。
 原陣営は公示後、8日までに3区内を1周。「消費税増税をストップさせ、大企業や富裕層など体力のある人から税金をとる政治づくり」や「原発を即時撤退させ、自然エネルギーへの転換を図る」「国防軍、徴兵制、核武装反対、憲法を守れ」などと各地で訴え、昼間は街頭演説、夜は個人演説会を展開してきた。「『民主党には裏切られたけど、自民党に戻るのはもういや。第三極も民主、自民と同じ古い政治』という政治不信の声があり、これまで自民党や民主党を支持してきた人からも応援してもらえることが多い」と手ごたえ。「街頭演説でも多いときは30人以上集まってもらえ、また商店街では消費税増税ストップの訴えに高い関心を示してもらっている。このほかこれまでの選挙ではあまりなかった電話での政策の問い合わせも多く、過去の選挙に比べて確実に反応がいい」と話す。ラストサンデーの9日は朝から御坊駅をスタート。 日高川町、印南町を回り、午後からは大票田の田辺市のスーパーやホームセンターなど人の集まる場所を中心に街頭演説を展開。 夜は個人演説会を開き、 支持拡大を訴える。投開票までは「3区内をもう1周するとともに、 やはり田辺市を中心に活動を展開して、当選を目指したい」と話している。
 山下陣営は公示から3区全域をほぼ一周。街宣や街頭演説で支持を呼びかけている。出馬表明が公示12日前、自身が和歌山市出身と時間なし地盤なしの厳しい戦いで、知名度のアップと訴えがどこまで浸透するかが鍵だが、陣営は「有権者の反応は上々。政治を何とかしてほしいという思いがひしひしと伝わってくる」と手ごたえを感じている。街頭演説は連日十数回と精力的にこなし、自民党の中央集権手法、国土強靱(じん)化政策を批判し、地方自らが主体となる「統治機構改革」の重要性と「地方再生」を力強く訴え、じっくりと耳を傾ける有権者も多い。街宣中には握手を求められたり、「頑張ってよ」「政治を変えて」など期待の声や、「家へポスター張ってよ」と協力を名乗り出る有権者も。確実に訴えは浸透、知名度も日に日にアップしている。8日には有田川町の大型電気店前に大阪府知事で日本維新の会幹事長の松井一郎氏が応援弁士に駆けつけ、士気が上昇。残り1週間となった選挙戦に弾みをつけた。ラストサンデーの9日は、最大の大票田の田辺市や白浜町で支持拡大を図る。今後は3区全域はもちろん、特に田辺をはじめ、有田、御坊、新宮など都市部を中心に攻勢。反自民や反共産、前回の民主票や浮動票の獲得、掘り起こしに全力を注ぐ。
 二階陣営は公示から3区全域で街頭演説や個人演説会をこなし、候補者本人が他候補の応援で3区入りできないときも、各地元の首長、県議らが応援弁士となってカバー。大票田の田辺ではローラー作戦も展開しているほか、御坊市の国道42号線沿いでは運動員が朝からマイカー通勤者らにアピールしている。本県懸案の災害対策や経済対策などの政策に対する有権者の反応は上々で、何よりも自民党の政権奪還への期待感がひしひし。推薦を受けている公明党との共闘も「小選挙区は二階」「比例は公明党」というすみ分け作戦で着々と集票につながっている。また、6日の安倍晋三総裁の来県は1区だけだったが、演説場所のJR和歌山駅前には1800人(主催者発表)が集まり、1区から3区までの自民党候補を当選させようという士気が上昇。ただ、大手マスコミの調査で「自民党優勢」と報じられることに警戒しており、「相手陣営に逆風が吹いていたり、追い風がないからで、決してこちらに追い風があるわけではない」と冷静に分析して陣営の引き締めに躍起。ラストサンデーの9日も本人はじめ、応援弁士らが田辺や御坊で街頭演説などで支持拡大を図る。終盤に向けては「初心忘るべからず」をモットーに走り抜き、圧勝を目指す。