東日本大震災の津波で松林が消滅、 約7万本のうち1本だけが残った岩手県陸前高田市の 「奇跡の一本松」 の保存事業に対し、 同じ松林がまちのシンボルの美浜町も住民に募金の協力を呼びかけている。 一本松は枯死が確認され、 9月には伐採されており、 モニュメントとして復元させるためにかかる費用は約1億5000万円。 森下誠史町長は 「美浜町としても少しでも貢献できれば」 と話している。
 陸前高田市は岩手県南部の沿岸にあり、美浜町の煙樹ケ浜の松林と同じく、約7万本の名勝「高田松原」がまちの代名詞だった。東日本大震災では死者・行方不明者が約2000人、高田松原は津波により根こそぎさらわれ、たった1本だけ残った松が「奇跡の一本松」として話題となった。
 一本松は「被災地復興のシンボル」ともいわれたが、衰弱が進み、5月に枯死が確認され、9月にはモニュメントとして復元させるために伐採。人工的な処理を施したうえ、元の場所に戻されることになった。その費用は約1億5000万円と見込まれ、 陸前高田市は市民生活の再建を最優先するため、一本松にかかる費用は保存を願う人たちの寄付で賄うことを決定。戸羽太市長が全国の自治体に対し、職員の募金協力をお願いする手紙を送った。これを受け、美浜町は職員だけでなく、住民にも協力を呼びかけることを決め、6日から役場1階に募金箱を設置。今月いっぱい受け付け、年明けに送金することにした。
 森下町長は「美浜町も5万6000本の松が植わる煙樹ケ浜を自慢とするまちとして、(津波被害は)決して他人事ではない。被災地の復興を心から願い、町民の皆さまにもご理解、ご協力をお願いいたします」と話している。