味覚の秋を迎えた。 野菜や魚介類などがうまい。 特にいまの季節は旬を迎える食材が多く、 例えば海の幸ではサンマやサバなど、 山の幸ではナスやサツマイモなどがいまが食べごろだ。 その四季折々の旬の素材を最大限に生かしているのが日本料理だが、 その和の食文化を世界的な無形文化遺産に登録しようと、 日本政府はことし3月、 ユネスコに登録を提案した。
 栄養バランスの取れた食事構成、 食事と年中行事・人生儀礼との密接な結びつきなどといった特徴もある。 諸外国からも高い評価を受けており、 世界的にもブームになっている。 今後はユネスコで審議され、 早ければ来年の秋に登録されるかどうか決まるという。 料理の登録は珍しいことでなく、 すでにフランスの美食術、 地中海料理などが登録されている。 仮に日本の食文化が登録されるとなれば、 有形の建造物や自然などを対象にした世界遺産と並ぶ国際的な保護の枠組みとなる。
 しかし、 国内では若い世代を中心にご飯離れが進み、 パンを中心とした洋食へと傾きつつある。 その影響は、 県の特産の梅の消費が低迷している要因の1つにもなっている。 だが、 日本の食文化が文化遺産に登録されることになれば、 もちろん大きな脚光を集めて見直されることになるだろう。 梅の消費に対しても大きな波及効果が期待され、 仮にPRポスターに梅干しの写真が掲載されれば、 世界的なアピールにもつながるだろう。
 梅の旬は梅雨時期の6月だが、 日本食の文化が遺産登録の可否が決定されるのは1年後の秋。 梅産地にとって実り多い結果となることを期待したい。    (雄)