○○さん宅、 倉庫、お堂、神社。日高川町の全84地区の自主防災組織が、町指定とは別に独自に決めた水害用の避難所。町の勧めで検討、その数計80カ所。昨年9月に上陸した台風12号豪雨で大きな被害を受けた同町では、町指定の133の屋内避難所のうち、日高川の氾濫で18カ所が浸水。12カ所が床上以上で、全壊した施設もあり、避難所としての機能を果たさなかった。そんな中、水害専用の避難所決定は、なかなかいい取り組みだと思う。
 避難所は水害をはじめ、土砂災害、地震等マルチに対応できるのが望ましいが、構造、距離、立地条件等の問題で現実的には難しい。同町の場合、山あいの集落など代替場所がない地域も多く、すべての避難所があらゆる災害に対応できるようにするなんて無理な話。適切な場所に適切な避難所を設置できないならマルチに対応できなくても、災害別の避難所があっても構わない。
 問題もある。場所によってはアクセスが不便で、坂道を駆け上がらねばならないところもあり、高齢者の多い地域などではスムーズな避難は難しい。しかし浸水する避難所よりははるかに安全だ。苦肉の策なので、日ごろからアクセス道を整備、危険個所を確認しておくことが大切、何より日ごろから防災意識を高めておくことは言わずもがな。
 筆者が住む美浜町は内閣府の大地震の被害想定で最大津波高は18㍍、浸水面積は県内で最も大きい45・3%。筆者宅より低い立地で、海寄りにある町指定の避難所に向かう気になれない。距離的にいささか問題はあるが、筆者の地震用の避難場所は西山。筆者の地域はそこしかなく、みんなそう思っているだろうが、意思統一を図ってほしい。    (昌)