「弟とけんかをしても、兄は常に弟より一発多く殴らないといけない」。最近の隣国との小競り合いに、子どものころに読んだ漫画『こち亀』の両さんのセリフを思い出す。
 親子、先輩と後輩という関係も同じで、親や兄は、子どもや弟に対してはいつまでも自分が「上」のつもりだが、子どもや弟が成長するにつれ、知力、体力、経済力で明らかに自分を追い越してしまう場合がある。こうなると、兄は弟の言動がいちいちムカつく。この怒りはジャイアン(中国)とスネ夫(韓国)の「のび太(日本)のくせに生意気だぞ!」のようなもので、それが理不尽極まりないため、溝はいつまでも埋まらない。
 中国と同じ中華圏の韓国は易姓革命の伝統が続いており、新しい政権が誕生するたび、前の政権は根っこからひっくり返す。大統領は退任するや逮捕され、死刑判決を受けたり自殺したり、家族まで迫害されたケースもあるという。つまり政治は一代限り、前政権の政治の約束、流れを引き継ぐことはなく、この点だけでも、中国、韓国という国は日本人には理解できない。
 中国にとっては、海の向こうの東夷の日本が、政治でも経済でも自分をリードしているのが許せない。それがここにきて、アメリカも一目置くほどのプレゼンスとなった。靖国や歴史教科書で手にした莫大なODAは忘れても、兄としてのかつての辛酸は未来永劫、忘れない。
 前政権の否定は当然だが、外交など何もかも覆しては周囲の国も付き合いようがない。日本も先の政権交代で同じことが起こりかけ、それがこの騒ぎを誘発した一因であるのは間違いない。次の選挙では揺るがぬ国家観を持つ候補、政党を選択したい。  (静)