活発な梅雨前線の影響で日高地方でも断続的な大雨となった12日、幸いにも九州のような大きな被害はなかったが、市内湯川町丸山西地区の東裏川がまたも氾濫し、流域の道路や田んぼが冠水した。地元住民によるとことしに入ってすでに4回目で、「この程度の雨でまたか...」とうんざり。長年の懸案だが、ここ数年はゲリラ豪雨などもあり、抜本的な対策を望む声が強まっている。
 12日の市内での総雨量は89・5㍉で、午前7時には時間最高雨量25・5㍉を記録。時間雨量が20㍉を超えるといわゆる「バケツをひっくり返したような大雨」となるが、今回1日の総雨量としてはそれほど被害が出るような雨ではないとされている。しかし、東裏川の流域では河川が氾濫し、周辺の市道と田んぼが冠水。川の流れはそれほどきつくなく、面積などは分からないが、周辺一帯が大きなため池のようになった。田んぼはちょうど稲が育っているときで、農家によると「稲全体が水に漬かってしまい生育不良になる」と悲鳴。また、今回の大雨で住宅の浸水はなかったが、市道は完全に寸断されてしまい、市では通行止めのバリケードを設置。通行車両などは迂回路を通ることが余儀なくされた。結局、この日は午後6時ごろになってようやく水が引いた。過去の大雨時にはもっと水位が上昇したこともあり、一部住宅が孤立化したり、道路と側溝の境目が分からないため、乗用車がはまり込んだりする被害もあった。地元で板金業を営む中野進さん(70) は 「特に夜になると道路か田んぼか川か分からず、非常に危険。私も脱輪した車を幾度となく助けたことがある。ここ数年は大雨が多く、氾濫することも多くなってきた。地元には小さい子どもたちもおり、何か対策をしてもらいたい」 と切実な思いを訴えている。
 東裏川は2級河川で県管理。関係者によると、氾濫の根本的な原因は東裏川と合流する西川にあるという。大雨で西川も増水しているため、水位があまり変わらない東裏川の水がはけない状態となる。水門もあるため、閉門してポンプで水をくみ上げて流せば水位を低下させることはできるが、これをすると水門のすぐ下流域の民家が浸水することもあり、いまは使用していない。抜本的な対策としては西川自体のしゅんせつや護岸整備が必要とされている。
 今回の大雨では日高川町鐘巻、 道成寺前の堂閉川も氾濫し一部冠水。現在、河川改修中の下川は氾濫しなかった。