南部川漁業協同組合 (井口富雄組合長) はことし、 価格が高騰しているウナギの放流を断念する方針を固めた。 現状は稚魚のシラスウナギの捕獲量が減って、 手に入らない状態だという。 同河川にはウナギに対する漁業権 (遊漁に鑑札が必要) はないが、 住民に釣りを楽しんでもらおうと毎年放流している。 井口組合長は 「いまの状況だと、 放流することは難しい」 と話している。
 毎年冬から春にかけて稚魚のシラスウナギが海から川へ遡上するが、 全国的に2年ほど前から不漁続き。 県内の特別採捕期間 (1~4月) の捕獲量は、 平成22年に53㌔あったが、 23年は11㌔に激減、 ことしも12・5㌔と低調となっている。 こうしたことが影響して価格が高騰。 昨年の1月が㌔当たり45万円だったが、 4月には70万円に跳ね上がった。 ことしも高値は続き、 1月は130万円、 3カ月後の4月には180万円まで値上がった。 この影響で、 以前からウナギを放流していた各河川でも対応を苦慮している。 南部川についても例外ではなく、 毎年1000匹程度放流していたが、 ことしは取りやめる方針。 同河川には漁業権の設定はなく、 放流は義務付けられていないが、 井口組合長は 「ウナギの価格が高く、 手に入らない状態。 ことしの放流はあきらめざるを得ない」 と話している。