みなべ町では5月から伝統漁法の「いさり火漁」で行うイワシ漁が行われているが、不漁が続いている。光に集まる習性を利用して網で一網打尽にする漁で、海面に浮かぶ灯りは夏の風物詩だが、漁師からは「昨年も不漁だったが、ことしも平年の半分程度。漁は秋ごろまで続くので、後半に期待したい」という声も聞かれる。
 みなべ町のイワシの水揚げ量は、 県下でもトップクラス。 ことしは5月末ごろから漁が始まったが、 不振が続いている。 本来なら6・7月ごろがピークだが、 水揚げ量は例年の半分程度だという。 漁師歴約50年の湯川五郎さん (68) も 「昨年から2年続きで低調だ。 昔と比べると年々漁獲量が減ってきている」 という。 量は減っても値段は上がらず、 「燃料費などを差し引くと利益が薄い」 という声も聞かれる。
 いさり火漁は古くから伝わる漁法で、 ライトで海面を照らし、 集まって来たイワシを網ですくい上げるという方法。 「棒受け漁」 「ボケ漁」 などとも呼ばれる。 漁師らは夜に出漁し、 沿岸の海域で操業。 朝に帰港してマイワシ、 ウルメイワシなどイワシの種類や大きさを選別し、 競りにかける。 業者らが買い取り、 干物などに加工して販売する。 紀州日高漁協南部町支所では20~30隻が操業している。