プロ野球パ・リーグの首位を快走中の千葉ロッテマリーンズで、角中勝也(かくなか・かつや)選手の活躍が光っている。背番号61の外野手、180㌢・80㌔の右投げ左打ち。大砲というイメージはないが、右へ左へ鋭い当たりを連発し、1日現在の打率は3割3分。堂々首位打者に立った。
 06年大学・社会人ドラフトの7位で25歳。日本航空二高、四国独立リーグ・高知を経て入団し、プロ入り6年目のシーズンを迎えている。10年までは鳴かず飛ばずだったが、昨シーズンは51試合に出場。8月のオリックス戦で5打数5安打と打ちまくるなどブレイクの兆しを見せていた。
 テレビのスポーツニュースで、なぜ一気に安打を量産できるようになったのか特集が組まれていた。大きなポイントはたったの一つ。打席内で「一歩」踏み出し、前へ立つようになったことだという。確かにVTRでみると、かなりホームベースに近づき、ラインを踏んで構え、投手に対峙している。コーチいわく「これで一番打つのが難しいアウトコース低めが打てるようになった。苦手を克服できた」。ホームベースへ近づくと恐怖心が強くなると答えていたが、勇気を出して踏み出したほんの小さな一歩はとてつもない「大きな一歩」に変わった。
 ただ一歩、前へ。それで世界が違ってくることもある。何事にも通じることだと思う。勉強、仕事がうまく運ばない時は考えてみよう。毎日10分、本や新聞を読む、早起きする、早く学校や会社へ行く。あいさつを人より先に大きな声でやってみる、同僚と必ず話をしてみる。些細なことでも何かを変えられる可能性がある。「勇気を出して一歩」は何より大切だろう。   (賀)